行間を楽しめる本。桜木紫乃「ホテルローヤル」集英社
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芥川賞・直木賞受賞のニュースで「実家がラブホテルを経営しており、そこを題材に~」というところを耳にしてちょっと印象深かった本。
以前は芥川賞候補読み比べ、などしていたのですが、最近は受賞から数年おいて、気になった作家・作品を読むようにしております。鳩の街だ玉の井だと読んでいて、(生きた空気感が伝わる 「玉の井という街があった」 前田豊 立風書房、読者にふさわしい箱を見せている 奥深い粋者の物語。 「濹東綺譚」 永井荷風 新潮文庫)その流れを現代に持ってきた場合はこのテーマがぴんときた、という感じでしょうか。
読んでて芥川かな、と思ってたら直木賞でした。
凄い、行間を読ませる人だなと思いました。
「ホテルローヤル」というもう廃墟になったホテルにまつわる話が出て
個人的には掃除をするパートのおばちゃんの話がぞくぞくするほど
母親の教えを全てだと思って、まるで人形のような、
時代のせいなのか?どうなのか?家族の気持ちもつかもうとせず、
自分の人生を評価するのは自分。そのように思わせる、気づきの短編となりました。この登場人物苦手なんだけどね。でも、新たな視点を頂きました。
この方の、他の小説も思わず読みたくなりました。