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ファン小説と文学との違いとは 「男役」中山可穂 角川書店

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宝塚をテーマにした小説と、お慕いする方のツイッターで見つけて読むタイミングを見計らっておりました。

プロローグの2ページの文章でのっけから引きこまれます。

臙脂色のビロードと眩いばかりの照明、それに歴史が幾重にも折り重なり構成されたあの劇場の世界を、ことばの力を持って眼前に持ってくる文章でした。

そこから本文に入ると打って変わってタカラヅカ小説。
なまじファンでございますからひかるという名前でコムちゃん(朝海ひかる)が浮かびすみれと言われればおささん(春野寿美礼)が浮かび、パッパさんのエピソードはとうこさんに天海様にあの事件にあのペアのエピソードに、と現実の宝塚のあれやこれやを考えずにいられなくなってしまいます。

そしてプロローグでうすうすと感じていたのですが、宝塚で実際に起きてしまった事件、実際は娘役さんだったはずなのですが、それをモチーフにしているという展開になっていきます。
エピローグでは関係ないと書いてあるけども、やはりあの事件を感じさせずにはいられません。

物語の構成としては、宝塚のファンの人が書いた小説と言われても、正直わからないかもしれない。
宝塚をオマージュして作ったというあとがきにあるように、20年以上宝塚から離れていて、トップスターと会話をしたことがきっかけでつくられたこの作品、宝塚に関してのツメはむしろファンが書くであろう小説よりも甘いです。

それが小説として成り立ち、夢中になって読ませ、新公ラストで号泣してしまったのはなぜか。
それはことばの選択と、そのことばたちを並べ集めた文章のもつ力なのかな、と感じました。

宝塚というテーマであるのであれこれ考えてしまうところがありますので、
別の作品でこの作家さんの文章を楽しんでみたいなと思いました。

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