世界は広い、ただグローバルが良い、悪いではない「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万里 角川文庫
小林麻央さん死去が読書のきっかけ
なぜ、この本を読むに至ったのか。大宅壮一ノンフィクション賞受賞、ということよりも小林麻央さんの死去で、がん治療についてネットで記事を読んだ際に米原さんのことが出てきたから。
そう、米原さんはがんになり、すでに2006年に56歳で亡くなっているのです。
闘病について書かれた本を読もうかな、と思いましたが、せっかくなのでノンフィクション賞受賞作であるこの本を読みました。
読んでいくうちにどんどん夢中になりました。
舞台はプラハ、そこでのソビエト学校に通うマリと、友人とのエピソードということで、このプラハとロシアに対するその当時の世界観が不明なところが多く、不安になりながらの読書スタート。
読み終えるのか不安でしたがいやいや!
世界は広い、ただグローバルが良い、悪いではない
様々な国籍の子が通ってくる学校で、日本人も全然居ないのでいろんな国の子、いろんな文化・宗教観の子がお友達となっています。(政治観に関しては、環境的に近しい、やや偏っている可能性あり)
ですので、子供たちの会話のなかでもいきなりとんでもない残虐な事態が発生したり、殺されたりということが出てきます。
それを思うと、日本でのんべんだらりとした生活を送ってきた我々なんかより視野が広い、わかることも多いと思います。
しかしながら、ただグローバルがいい、国内にとどまっているのは劣っていると断じることはしたくなくてですね。このグローバルがいい!みたいな人は国内での視野が狭くて上流階級しか知りませぬ、ということもままあると思ってまして。
自分が今いる世界の中でできる限りの視野を広く持つこと。その意識は持ちたいなと思いました。
異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てるすべてのものを確認しようと躍起になる。
P123
読むことで、このことに意識が向いて良かったです。
はらはらする、友人との再会
大人になって翻訳家になったマリさんが、仕事の合間に友人に会いに行くのですが、周辺の人に聞きこんで、探し回って、いよいよ会うという過程でのはらはら感がとても面白いです。
他の作品、エッセイなども読んでみたい!と思いました。
しかし、私が興味ないとはいえ世界史・海外事情勉強不足過ぎるな。本を通じて、理解を深めないと。
7月18日読了
ヒロセマリでした。