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欲望に気付かないまま死んだ方が幸せなのでは「大卒無業女性の憂鬱」前田正子 新泉社

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WEB記事で著者前田さんのコメントが気になって読んでみた。

私の前提意見としては女性活用推進とか一億総活躍みたいなことを信じてなくて、あれは一部の人が言ってるだけで現場サイドの人はそんなこと微塵も思ってない世界があと10年は続くと思っていること。

15年経つと、いよいよ危機感が出てくるかなぁ?くらいのもの。

日本の中でも、地域でここまで意識に差が出るのか

まずはデータをもとに日本の現状を説明してくださいます。結構表だらけ。さすが大学のせんせいだ。

ここらへんの表、読みづらかったらさーっと流してもいいかと。そのあとのインタビューの方できれば読んでもらいたいので。

読み飛ばしつつも文脈を追うと、「関西はまわりの男性、そして母親世代が圧倒的に女が働いても・・・って思っている地域」というのがわかってきます。

びっくり。うちはばぁちゃんが小さいころからもう関東圏、関東の中でも都心に近いところで生活しているし働いてたし小さいころから働くこと前提に私も生きてきた。

収穫としては「関西、特に奈良や兵庫の高級住宅街エリアのおぼっちゃんには気をつけろ」なのかな。

働きたい女性は嫁がない方がよいよろし。東京近郊か、北陸がそんな働きやすい地域だとは知らなかったけどそっちの方がいいかもよ!

そういう視点も一つもつと、婚活も有利に進められるかも!だって逆に言うと専業主婦したい人は関西へ、ということですからね。

欲望に気付かないまま死んだ方が幸せなのでは

中盤、面白いなと思ったのが「大卒未婚無業女性たちの話」。

すごい、大卒未婚無業女性ってタイプしててパンチあるワードだなーと思います。

なぜ、彼女たちが働かないのかを話してくれてるのですが、印象的だった子が。

山口さん(仮名・20代後半)

本が好きで、本が読みたいのですね、彼女。それ以外の欲はあまりなくて、書店のアルバイトを辞めてから2年間、働いてないのですがお金のかかる生活はしていないので、いまはアルバイト時代に貯めたお金でやっていけているというのです。

え、バイト辞めて2年やっていけるのかという驚きと、それって幸せじゃないかと思う気持ちがあります。

上質な本があれば、一日それだけで過ぎて行ってしまうというのは私もよくわかっているから。

現に今週私仕事の合間に7冊読んでて自分でもびっくりしてるんだけど寝ても覚めてもすぐそばにある本を手繰り寄せてページをめくればそれだけで楽しいのよね。そしてお金かからない。

それに対して著者は

山口さんも欲がないというか、話していても感情が薄い。本の世界に没頭したいという以外に、何がしたい、これが欲しいというものがない。最低限のお金さえあれば、それでいいという。

P90

と評しているのですけどね。私はその実、これでいいんじゃないかと思ったりもしています。欲望が身の丈にあっているというのは、金はあっても欲望に飽き足らない人たちよりもよっぽどしあわせだと思います。日本経済はしぼむけどね。

参考:実行していたものを言語化できてすっきり「「自由」はいかに可能か」苫野一徳 NHK出版

むしろこの状態が数十年してから欲に気付いてしまった方がつらいでしょ。40歳でひきこもってて社会性もお金もないのにやりたいことが出てくるって。

進学する大学と結婚の相関

ここでも進学する大学のレベルについての話題が。

どこで出てきたかっていうとこれからの日本が取り組むべきテーマが浮かぶ 「貧困とセックス」中村淳彦 鈴木大介 イースト新書で。

グローバルだ、日本はもう学歴社会じゃないなんて最近聞かないけど、大学全入時代の今、苦せず、あまり考えずに難易度の低い大学を出ると「大学は出たけれど」になってしまう。

まぁ国立大出ても無業っていう女性のインタビュー(転部して中退して別の大学に行ってまた専攻変えて大学院まで行って休学という永遠の自分探し女性だったけど)もありましたけど、前述の通り、一億総活躍とか女性活躍なんて言葉に期待しない方がいいと思っているので難易度の高い学校に入って・・・の方が安全度は高いと思います。本を読んで、改めてそう思います。

「日本病」となってどん底まで落ちれば、変わる

末尾で海外の状況なども紹介されてまして、

「オランダ病」とまでいわれるほどのどん底まで落ちたことで、改革に踏み切った。

P206

と書かれていたように、まだどん底ではないのです、日本。余裕があるのです。

困ったら、本当に困ったら企業のルールもやり方も変わります。

そんな日本がどん底になったときに強いのは本さえあればお金そんななくても生きていける山口さん(仮名・20代後半)だと思うのですが、どうでしょうか。

7月25日読了


大卒無業女性の憂鬱―彼女たちの働かない・働けない理由

ヒロセマリでした。

参考記事

実行していたものを言語化できてすっきり「「自由」はいかに可能か」苫野一徳 NHK出版

これからの日本が取り組むべきテーマが浮かぶ 「貧困とセックス」中村淳彦 鈴木大介 イースト新書