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宝塚との類似性が感じられた 「京都花街の経営学」西尾久美子 東洋経済新報社

先日の「舞妓の言葉」(京都を知りたい方、またはOJTトレーナーやマネージャーで人材育成をする人へ 「舞妓の言葉」 西尾久美子 東洋経済新聞社)に続き、読み終わりました。

この本で、京都花街の本当に初歩的なところ、
5つ花街があること、その地理的な配置、
「ぽんとちょう」という街はポルトガル語のポント(先端)・ポントス(橋)と
いう言葉が語源という説がある、
といった気になるけど知らない知識から順々に、
花街のシステムを体系的に知ることができます。

元々が論文だっただけに、人数と軒数の表やグラフから始まり、
適宜ビジネスモデルの図表が入てくる構成になっており、
ビジネス書を読み慣れている層にも、理解しやすいと思います。

「一見さんお断り」で成り立つビジネスモデルには、
やはり旦那衆という、経済的にも、文化的にも恵まれた層が
必要なので、今後この花街の盛衰は、特に人々の文化的な要素に
かかっているところが大きいのかと思います。

この本の地図を見ながら、花街を散歩したら、今までよりも深く、
理解をしながら歩けるなと思い、京都旅行への夢が膨らみました。

あとは、コラムでも書かれているのですが、宝塚歌劇との類似性
を節々に感じたのですが、小林一三先生が、歌劇団創設時に、
花街のシステムを参考になさったのですね。

京都花街と宝塚の類似ポイント

1.強固な上下関係

一日でも早く芸舞妓さんになった人はすべてを「お姉さん」

宝塚も、15歳~18歳の、年齢がバラバラな女性が
毎年入学するのですが、年齢一切関係なしに、期がすべてで
強固な上下関係が構築されています。

2.宿坊

お客は1つの花街につき一軒だけのお茶屋を
窓口として遊ぶ

宝塚ファンは1つの組につき1人だけのファンクラブに入って応援する
という暗黙のルールがあることを思い出しました。
粋でない、ということと、応援する人の成長を促すという点でも、
1つところに集中することが大事なのでしょう。

3.女紅場

現役の芸舞妓さんである限りは、女紅場で学ぶことが
義務づけられ、いったん入学すると、芸舞妓さんを
廃業するか、現役なら死ぬまでは卒業が無い。
芸舞妓さん=学校の生徒、というシステムとなっている。

宝塚でも現役の生徒である限りは、宝塚に入団した年を
宝塚音楽学校研究科1年とみなし、それを研1といった形で略し、
研18、といった形で現役である限りは生徒というシステムに
なっています。

作者の西尾さんが、現在宝塚歌劇の研究をなさっているのも
納得ですね。
そちらの著作の方も、楽しみにしております。

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