1. トップ
  2. 読書をする
  3. 日本の敗戦を感じる 火垂るの墓 野坂昭如 新潮文庫

日本の敗戦を感じる 火垂るの墓 野坂昭如 新潮文庫

黒い福音(ドラマ見た方も楽しめる 黒い福音)に続き、
日本は敗戦国なのだ、と感じさせる一冊。
黒い福音よりもはるかに、戦争色が強い作品集でした。

火垂るの墓は映画版を何度も見ていますが、まさにこの文章を
そのままアニメーションにしたものだ、と冒頭びっくりしました。
原作の野坂さんが試写を見て号泣されたというのがわかります。

短い短編ではありますが、映像化するには、これくらいの短さで
十分なんだな、と感じます。
藪の中だったり、萩尾望都さんの作品とかも、ごく短い短編で
深い物語が紡がれていますから。

そして、野坂さんの作品を読むのが初めてなのですが、句点が
極端に少ない、読点「、」でたたみかけるような文章。
どうしても語りたい、語らないといけないという強い意思を
感じるような文章です。

最初はうわっと思ったのですが、読み進めているうちにこの文章の
リズムに引き込まれている自分に気づきました。

実際の体験を元に、パラレルストーリーがいくつも分岐して、
様々な小説世界が作られている一冊です。
薄いけど、読みごたえは十分でありました。