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30年近く経っても「無念」を感じさせる「グッド・ラック 日本航空123便のコックピットで何が起きたのか」清水保俊 講談社

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8月12日という日だからこそ、この本をご紹介します。

7月に発売されたばかりのこの本を読んで思うのは、無念さ。
当時、日本航空で働いていたパイロットたち、いや日航以外の方でも、乗客の命を預かり飛行機を運転する者たちにとって、この日本最悪の墜落事故が起きてしまったことが30年近い時を経ても無念でならない、一生忘れられない出来事なのだと痛感します。

事故調査委員会には日航関係者が携われず、機種の特性を熟知した調査が出来ていたのかがわからない、とボーイング747型機で22年間フライトをした著者が「コックピット・ボイス・レコーダ」と「フライト・データ・レコーダ」の記録を元に、コックピットでは何が起こっていたのかを検証しています。

メインである第二部では、検証に次ぐ検証。物理的な計算のオンパレードとなっています。パイロットというのはこうった計算を頭に叩き込み、猛烈にシュミレーションを行うプロ集団なのだと筆者の検証と登場人物たちの会話から読み取れます。

第二部後半と第三部では、筆者の希望が描かれておりますが、カンパニー・ラジオの会話と、コックピットの判断というのはこの事故の後、この事故の状況を踏まえた検証、シュミレーションを複数回行って出てきた可能性を描いたもの、とあります。事故後に検証を重ね、対策することによって状況を打破する可能性がようやく出てきたということを知り、1986年当時、この状況に追い込まれたコックピットの方々の絶望と、それでも諦めずに航空を続けた様に改めて頭が下がります。

もし、もしこのフライトが夕方で伊丹に9時までに絶対着陸しなければならない、また、お盆前日で新幹線への振替や宿の手配が困難という状況でなかったら、もっと早い段階で戻ることが出来たのかもなと思うと残念ですね。

この本を読んだら、ボーイング社が今でもこのままだったらボーイング機に乗るのがちょっと怖いなあと感じてしまいました。

<関連書籍>

この事件の関連書籍としては

こちらが真っ先に上がります。
大阪から東京にいく便の読書として誤って選択してしまい、上空で「なんで私はこのタイミングでこれを読むかなあ」と思いながら読むのを止めることが出来ませんでした。

こちら、私が見たのは特大サイズの写真集でしたが、キンドル版が出たのですね。
もう、ただただ、無念。

小説

続いて小説。
クライマーズ・ハイは読んだのですが、半分日航機、半分は登場人物たちの話、という感じは否めなかったです

こちらをいずれ、チャレンジしたいと思っております。

山崎先生はまだ大地の子しか読めてないのです。大地の子映画・ドラマは見ているのですが、原作を読むとまたちがいますので、いずれは。

→読みました。時間軸空間軸の移動に夢中。「沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 」山崎豊子 新潮文庫

本書の参考文献

巻末に記載された参考文献で気になった本としては

なんと事故前に出版されている本ではないですか。
ここで語られていたのに、ということなのかな。気になりますね。

その他参考文献

第三部を読んだ後、実際はどうだったのかな?とWikipediaを見たのでそちらで気になった参考文献。

→読みました。なるほど、御巣鷹山事故の基本書籍。「墜落の夏 日航123便事故全記録」吉岡忍 新潮文庫

こちらは、先日読んで止まらなかった本(裁判官は、あなたたち被害者に会う義務もないし、あなた方が裁判官に会う権利もない「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」門田隆将 新潮社)の作者の方の本ですので、読んでみたいな。

飛行機をよく利用するものとしては、安全に目的地まで届けて頂きたい、ただただそれを願いたいと思います。