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この世界と言えば、「椿」のイメージがまた強く。 「寒椿」宮尾登美子 新潮文庫

まだ続く宮尾登美子シリーズ。
綾子シリーズにも登場した、4人の芸妓を主人公とした話。
それぞれを主役に4章で構成されています。

しっかりものの澄子、頭が8分目と周りから言われる民江、食欲にとらわれて短い一生を終えた貞子、そして芸妓から足を洗い、社長夫人になった妙子。

貞子に関しては既に亡くなっていて久しいので、叔母からの話を聞いた綾子視点での話です。

一時期同じ家で同じ様に育てられても、その後の人生はその子の性格で変わって行くのだな、と妙子の兄弟での違った境遇を見て改めて思い、
またその家の正式な娘であり、4人に比べて金銭的に圧倒的に恵まれていて、何不自由ないお嬢様である綾子も、その家に育った故の苦悩があることは数々の本で痛いほど感じ。

「アルマン」という男性が出てきて「椿姫」の事が若干触れられています。この作品も冒頭、不吉花としてこの業界で避ける椿の花の植え込みについての記載から始まります。
この作品と椿姫が相まって、私の中でこの世界の女性と言えば椿、というイメージがより強くなりました。

読んでいる途中、この映画をナンノこと南野陽子さん主演で行っているということをネットで見て、予告編とか見た結果、タイトルはこれだけど中身は完全に岩伍覚書ですね。
鬼龍院花子の生涯と言い、宮尾作品は映画の題材としてだけ持って行かれたような感じなのでしょうか?

<宮尾登美子作品>