こんな子、おるかいなと思いつつ「死にたくなったら電話して」李龍徳 河出書房新社
|
タイトルがちょっとインパクトありますよね。久方ぶりに家に来た父が本を見て、内心驚いていたのではなかろうか。
文藝賞受賞作ということで、手に取ってみたのよ。
死にたくなったら電話して
関西の朝キャバクラから、のっけからちょっとおかしい女に好かれる、ちょいイケメンの主人公の話です。
ミミの非現実感
ミミ、と読んではいけない、初美だった。この子が特殊で、気にはなるけど、どこか気味悪い。
キャバで稼いでて、美人で、細くて、それでいてある部分への膨大な知識があって…
こんな子、おるかいな、と関西弁で突っ込みたくなるようなものなのですが、なんだか読むのをやめられず、適度に様々な出来事があって、後半ページを読むスピードが上がっちゃった。
痴人の愛とも違う、じわじわと堕落していくふたり、か、ひとり
周囲の人間からの裏話、でミミはこういう人間でした、で終わるかと思ったらそうでもなく続くという予想外の展開。
二人はどうなっていくのか。
明らかに、主人公徳山はミミに感化され、その環境を悪いほう悪いほうへと持っていく。
が一方、果たしてミミはそうなのか。その環境が変わったことで、特段の変化もなく、むしろ幸せなようにも感じてしまう。そうやって一緒に堕ちていく男を見つけた故の嬉しさが、あの朝キャバの異常さに現れているのでしょうか。
ちょっと、次の作品(報われない人間は永遠に報われない)も読みたくなりました。楽しみ。
9月6日読了。
ヒロセマリでした。