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完成されたその世界を構築するにあたる基本理念を確認「谷崎潤一郎随筆集」岩波文庫

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以前の恵比寿有隣堂にあった「小さなおうち」特集で並んでいて気になってからようやく読めましたよ!
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陰影礼賛を読みたくて。陰影礼賛を読むのであれば、中公のものを読むか、もしくはこちらか。中公の方が表紙を見て一目でわかるな、と思います。

ただ、私の家には岩波の「「いき」の構造」があり、本棚の中の「日本や日本人の考察」エリアに属するとなると岩波で揃っている方がビジュアルバランス的には好ましい。

ということで岩波版に致しました。

まあ「菊と刀の岩波版が無いので別に岩波にこだわらなくても良いということに気付きましたが。

陰影礼賛のラストにあるこの決意表明が印象深かったです。

私は、われわれが既に失いつつある陰影の世界を、せめて文学の領域へでも呼び返してみたい。
文学という殿堂ののきを深くし、壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、無用の室内装飾を剝ぎ取ってみたい。

この思いをもって、数々の作品を書き上げたことでしょう。

前後して、刺青を読み返したこともあり、短い文章の中で完成された世界観、その世界を構築するにあたる基本理念を確認することができたな、という気持ちです。

既に洋風建築で作られた私の部屋で陰影を楽しむには、やはり間接照明を導入し、部屋の隅々まで煌々と灯りの力が届かないように操作すること。

その中で、漆器でお味噌汁を飲みたいな、という気持ちにさせられてしまいますね。

イメージはできつつある、自分の求めるくらしのイメージ。
くらし系の本をこれから数冊読もうと思っています。
このイメージを具現化していく手段のヒントがつかめるといいな。

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