二人のような努力・成長が連綿と数百年続いているのが日本の歌舞伎「ぴんとこな」16巻 (Cheeseフラワーコミックス) 嶋木あこ
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1巻の発売が2010年2月。6年近くに渡り、単行本を楽しみにしてきた作品が完結を迎えました。
月下の君で源氏物語に挑戦した嶋木あこが君は「好き」の代名詞 (フラワーコミックス)という短編で歌舞伎という題材へ。
この短編をもとにして、始まったのがこのぴんとこななのではないでしょうか。
帯裏の作者からのメッセージで
若者の成長を描いてみたいと始めたこの物語
と書かれているように、本作では恋愛ではなく猛と弘樹の歌舞伎役者としての奮闘、成長が軸に置かれておりました。
そしてそれよりも最後まで気にかかり、そしてそういう結末になったか、というのが田辺。彼は最終巻に及んで恐ろしい行為に出ます。
そして最終的にヒクツなままの人間だった。
それが逆に二人の魅力を増す結果となったといいますか、すべての人間が成長しなかったこともこの世界に流れる真実だと思います。
芸事で成長していくには血筋だけではなく、環境と何より本人の意思、そして稽古しかないのでしょう。
大きな問題になったお嬢さんの妊娠も、物語最大のどんでん返しになった父方の祖先と相まって、非常にしっくりくる終わり方。嶋木さんが前もってこの結末に向かって書いていたのだろうと思います。
出てこなくなったけど、山本さんは首にしたかなあ。あの人も成長はなさそうだから、歌舞伎から離れた方が周りの人たちが幸せになるよなあと。
今風姿花伝を読んでいて、この本の対象は能ではありますがひたすらに稽古に打ち込むこと。初心を忘れないことということの重要さは変わらないでしょう。
この二人のような努力・成長が連綿と数百年続いているのが歌舞伎なのでしょう。
落語にもチャレンジしたので、歌舞伎も見に行きたいなあ。
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