筒井氏の小説を読むと、自分が壊れて熱が出る 「虚人たち」筒井康隆 中央公論新社
小学生の頃から2度3度チャレンジしても全然読み切れなかった
小説をようやく!!読み終えることが出来ましたよ。
勢いが大事ですね。
私の人生に多大なる影響を与えた筒井氏。
久しぶりに読むことで、やはり自分が既成概念にとらわれ、
知らず知らず枠にはまっているなと思い知らされます。
小説なんて虚構の世界だという、がつんと頭を殴られるような文章。
世界を自分の脳内に投影すると、まるで自分が魔法使いになって、
星のついたステッキを振ってどんどん好きに世界を操っている
感覚になります。
そうなんです、小説なんだもの。自由なんです。
冒険的な小説は最後、どうなるかとドキドキしながら読み進めていくと、
エディプスの恋人と同様、登場人物が理解し、受け入れることで
終幕していきました。
他の小説だって、登場人物はみんなわかっていて、
その上で、この小説とは違い、破たんを、内部の事情をこちらに
見せないであげているのかもしれないですよ?
という問いを投げかける作品。
本音と建前の日本人ですからね。
小学生だった私は、初めて筒井氏の小説「家族八景」を読み、
自分が築いていた世界観がぶっ壊され、その衝撃で熱を出した。
その翌日、学校を休んだ私が日がな一日見たのは
阪神大震災のニュースだった。
筒井氏以前/以後で精神的にも物理的にも大きく変わった私は、
筒井氏の小説を読んだ今日もまた、熱を出している。