子どもが妊娠しないようにと心配する親は、これを子に渡したら 「空中庭園」角田光代
とにかく、小泉今日子さん主演で映画化した、というイメージが強い本。
秘密を持たないというルールの家族の話、になっているのですが
母娘問題がインパクト強すぎて、その印象につきる本でした。
秘密を持たないというルールを決めた母親からしてもう嘘だらけ。
でもその背景にあるそのまた母親との関係が、当たる人には
どんぴしゃ突き刺さる内容となっております。
先日読んだ「母と娘はなぜこじれるのか」にて、
なぜ角田さんと対談をしたのか、この本を読んで納得しました。
章によって人称が変わっていくのですが、母親から祖母に移った時の
認識の違いといったら。
母親は一生苦しむけど、祖母はその苦しみを一生わからないのかな、
という絶望的な本。
えりこさんはその呪縛から今も抜けられないのが辛いだろうな。
断ち切ることが出来ずに、「空中庭園」に逃げている。
空中庭園も、タイトルになるほどの立派な庭園というわけではなく、
象徴としての「空中庭園」という意味合いが強かったのが
当初の想像を裏切られました。
しかし父親が情けないですね。学生時代に子供が出来てしまったことで
人生が変わり、変わったとしてもそれから17年経った今でも
子どもがあの時出来なかった自分を想像して
そんな空想に逃げている。逃げ続けている。
自分から逃げて、女に逃げる、器の小さい色魔。
マナちゃんに手ださないだけまし、でしょうか。
この本を中高生女子に読ませたら、うかつに妊娠すると大変だ、
と痛烈に伝わるんじゃないでしょうか。