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現場現物現実ってこうやって確かめるんだ 「平塚八兵衛の昭和事件史 刑事一代」 佐々木嘉信 新潮文庫

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いやあ、面白かった。
私事件にどうも興味を持ってしまうたちなようで、
気が付くとここ100年くらいの日本の殺人を中心とした事件を集めた
サイトでひたすらその情報を読んでしまうことがあります。

そうすると外せないのがこの人、平塚八兵衛。
戦後の日本の刑事を語るには外せないこの方の
退職後のインタビューをまとめた本です。

こちらとしては1事件1ページを基本とした事実を読むか、
松本清張さんの小説として接する、という切り口でしたので、
1つの事件を50ページから200ページかけて、
どんな捜査をしていったのかじっくりと読めることが
嬉しくてなりませんでした。

「落としの八兵衛」と言われていたのですが、落とすために、
物(物証)や、アリバイを目撃者をはじめとしてひたすら足で
情報を入手し、それを自分の中で理解させ、事実をあぶりだす。

基本となっている「現場、現物、現実」。
こうは言われますが、とはいえ、ついつい人に聞いたことで
納得しがちになってしまう中、自分で確認しないと信じない。
手間はかかるかもしれません。いえ、確実にかかるんです。

でもこの手間を愚直にかけることで、犯人にたどり着き、
犯人を落とすことができる。
この行動力に脱帽です。

本の語り口はインタビューということもあり、話してくれるテンポで
どんどんと進んでいきます。
数年前に、松本清張さんの黒い福音で、平塚さんにあたる刑事を
ビートたけしさんが演じたのですが、この語り口を見ていると
ぴったりだなと感じました。

今まで事件としては知っていたのですが、そこまで興味がなかったのに
この本を読んで俄然興味を引いたのが
「カクタホテル殺人事件」です。
伊藤和子さん、魅力を感じてしまうなあ。

次は文中にも話題になった「日本の黒い霧」を読んで、
松本清張さんが下山事件を、どこから他殺と判断したかも知りたい。

今はちょっと単語くらいは出てきた、「狭山事件」について
読んでいるので、まあ近々。

八兵衛さんに関する本、また読もう。

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