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彼女たちの価値観「差別されないこと」を理解しないと適切な対応はできないのでは「出会い系のシングルマザーたち」鈴木大介 朝日新聞出版

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別の本と併せ読みした、その一冊目。

読みたいと思っていた若年層の貧困に迫る話。

著者の鈴木大介さん(ギタリストではない)が直接会って、メールして、取材を進めていきます。

この本は次に紹介する本よりも、生々しいというか、もう一段階ダークサイドの、辛い世界。

第2章である「売春婦にもなれず」で書かれた事実が、重く、辛い。

今や、そういった組織に属して春をひさぐことすら選ばれた女性にしかできないという事実。

ここで描かれている貧困は、

精神も、環境も、体力も知力も、なにもかもを喪失した、言語を絶するような「持たざる者」。

貧困から抜け出すメンタリティを養う環境が与えられず(それはその親も持たざる者だった可能性が高いから)、知力が無く、知的好奇心が無いと、自分の「思い」だけで物事を判断することとなり、その経験からくる頑なさが現状を打破することを拒む。

そういった彼女たちの特徴が、誉田さんという存在によって浮き彫りになる。

「民生のオバサン」とうまく付き合い、水商売をする女性たちと支え合い世の荒波を乗り越えている女性。

そんな誉田さんの話を別の女性にすると

実はなにしてもあんまり差別されないタイプの人

と評される。

女には女社会のなかで、叩かれるタイプとそうでないタイプがあって、私を含めて出会い系サイトで鈴木さんの言う『隠れ破綻』をする女っていうのは、本能的に自分が叩かれやすいタイプだって知ってるんだよね。

と付け加えます。

わかります。私はこれ幸いにも、「叩かれないタイプ」だから。そして、こういったタイプで分類できるというのも肌で感じていて、学生時代とかクラスの女性陣見ててそういう分析もしてました。

私がやっていたことを、叩かれるタイプの人がやった場合、その言い方、振舞い方によって叩かれ、いじめられる可能性がごく高いと思います。

なぜそうなるのか?

自分のことから考えてみると、その理由はこの本の中に出てくる「自己肯定感」の差なのか、と。私もその総量で考えると一般女性から比べると低いゾーンにいる部類ではあると認識していますが「これ!」という部分的なもので、これは自分凄いだろ、と思えることがあった。

それを自分であっためて、磨いて行ける環境があった。また、好奇心を持ち、貧しいながらも浮かんだアイデアを行動に移せる環境があった。
貧乏だけど、貧乏な中で自分がお金を得て、経済活動をしていく術を考え、調べ、実行し反省して繰り返すことが出来た。

ここで書いているような自分の趣味、好きなものに関してはすごい自信あるというか、他人から何言われてもいいですよ、相手の意見は聞きます、どうぞご自由にと思っています。

それが「持たざる者」にはできない。なにもかもを喪失しているから。その世界にない要素だから。

彼女たちの価値観は「差別されない」こと。それを避けるのが第一義です。それを避けるために、合理的な判断ができないこともしばしば。このメカニズムを把握しないと、彼女と接する人はそのとき適切な対応はできないんじゃないかなあ。

彼女たち、そして次世代の彼女たちになり得る子供たちに必要なのは本質的には金ではなく、自己肯定感を持ち、知的好奇心を持てる環境なのではないか、と思いますがそれを解決していくのは金銭的な問題よりよっぽど難しい。

適切な対応、と書いたけど適切な対応とはどういうものなのか?その答えはとても1冊読んだだけでは出てくるものではない。

なので、このテーマに関する著作を読み、理解を深めるところから始めたいと思っています。

<朝日新聞出版の本>

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