価値観の相違。何を優先とするかの相違が明確に。「すぐそばにある「貧困」」 大西連 ポプラ社
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ひたすらに現場の、貧困のさなかにいる人たちに寄り添う人の本。
ひょんな、高校時代カラオケに行って終電を逃して、お金もないので始発までホームレスと過ごすことになったことをきっかけに、友人からのボランティアの手伝いをはじめたら、それが続いてNPO法人の理事長へ。
一筋縄ではいかない人たちに対応し、騙されることを前提に信じる。
それは大西さんの環境と、性格とがなせるわざなのかなぁ。
人とのコミュニケーションをうまく取れない、そして我慢をすることが出来ない、というように見えるこの人たちの特徴を「ふつう」が違う、と大西さんは言う。
そう、価値観の相違。何を優先とするかの相違。
私は福祉の世話になるくらいであれば、自由にホームレス活動することを選ぶ人たちに対して直接なにかをする、ということの優先度が低いのだ、と知ってしまう結果に。やはり、手を差し伸べるのであれば、こちらのお願いを素直に聞いてほしいじゃない。
って思うと、寄り添えないんだろうなぁ。
自分が持っている「普通」がここで描かれている人の「普通」と離れている、ということはすなわち自らの育成環境が恵まれていたということなのだろうか。
そんなことを自問することとなりました。
12月3日読了
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