今、アイドル歌手と呼ばれて頑張っている全ての人に読んでもらいたい「蒼い時」山口百恵 集英社文庫
昭和56年に発刊された本。なんだけどAmazonの歌謡曲・演歌の2017年現在のランキングでも一位。
私にとっても伝説の歌手、というイメージしかない山口百恵さんの本。
ここまでの内容を昭和50年代に出していたのか、という驚きというか、この時代だから出せたのか?という疑問と。
歌手としてのエピソード。
コンサートで花束を持ってステージに駆け寄った少女が警備員に止められた。
歌(秋桜)が終わり、MCになった際、私は少女の姿を目で追いながら言った。
「係の方は、一生懸命自分の仕事をしただけなんです。ごめんなさい。で、よかったら、あなたの持っているその花頂けますか」
P128
ステージを作り上げるため、ホリプロでははじめてタレント個人のプロジェクトを作る、という提案をした。
「これから先は、ステージを見にきてくれる人たちに、我々のチームワークを感じ取ってもらえるものを作っていこう」
P131
そしてそのスタッフからは
「きみの瞳が、今のままきれいに輝いている限りは、どこまでもついていこうと思っているよ」
P173
ということばをうける。
わざとらしいカーテンコールをやめたというエピソードで
観客の気持ちに全て応えていくのではなく、どこかで反発し、自分の世界を守り通そうとする歌手。たまには、こんなひねくれものがひとりくらいいても、いいのではないだろうか。
P152
と、とにかく、自分の納得ができるように活動を重ねていく。
友達、という章で桜田淳子さんに対して
彼女ほど何に対しても素直で、真剣な女性を私は知らない。こんなことはいらぬお節介かもしれないが、それは彼女の最大のよさであると同時に、自分自身が苦しくなってしまう一番の原因であるようにも思う。
P181
というコメントには、その後の桜田さんの宗教に関するニュース(小さい頃、そのニュースがワイドショーで騒がれた記憶はあります。若い人は調べてみてね)が起きた今はなんと正鵠な意見だと。
その他、性に対して、愛に対して、赤裸々に、ともとれるでしょうが私には本当に真摯に、文章を書き連ねて出来上がった本だと感じられました。
今、活動をしている人達に、名前だけ知っているこの伝説の人山口百恵が、どのように周囲に筋を通し、どのように行動し、洞察しているのか。その一端を触れて、自分の活動のヒントにしてもらえたらな、なんて思います。
12月4日読了
参考記事
ただのアイドルとは一味違うキョンキョンの魅力を、一歩知る「パンダのan・an」小泉今日子 マガジンハウス
流れるように文が紡がれて、独特の世界に浸される 「なぜなら やさしいまちが あったから」中山美穂 集英社