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60年代の懸命って何「されど われらが 日々」柴田翔 文春文庫

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うーん、わからん!

この間読んだ本(謎というより歴史かな「芥川賞の謎を解く」鵜飼哲夫 文春新書)で、受賞者だか作家のアンケートで得票数が多かったのが、この本だったのですね。


新装版 されどわれらが日々 (文春文庫)

で、読んでみたのですが・・・わからないのですね。魅力が。

大石静さんの巻末の解説を読むまで70年安保の時代だと勘違いしてましたし。60年安保の頃という。1964年の、20代の若者。

仮に24歳と仮定すると、2017年の今もう77歳だったわ。ここまで古い人たちの世代なら、わからなくても当然かなぁ。

時代によって変わるもの、変わらないもの

説明してはなくなってしまうような何かが、学問には必要なんです。そして、その何かが、女性には先天的に欠けているんです。女の人の幸福は学問をする所などにはありません。
P47

とかもう時代錯誤も甚だしい!って思ったんだけどそもそも50年以上も昔の話だと思うと怒る気も失せる。

かと思えば

けれども、あのけだるさ。生きることへの面倒くささと、死ねば全ては楽になるぞという囁きが溶け合ったけだるさ。
P94

とか手紙に書いて自殺しちゃう学生なんかは今に通じるものがある。性の乱れなんかも今に始まったことでなく、全世代的にそんなもんで、そもそも乱れているという解釈自体明治以降に始まったことだと思うと早余り気にならず。

結果、時代関係なく主人公が好きじゃない

婚約相手が自殺未遂の結果、主人公から離れていくラストなのですが、その前にもご自身のエピソードとして放埓な関係の結果、そのうち一人の相手を身ごもらせ、自殺させ、その事実を自分しか知らないというのを紹介。

この人にとっての女性、なのか他人、なのかがどうでもいいというか、対する人の気持ちがどうでも良くって、自分本位すぎるのです。

裏表紙に

「六全共」のあとの虚無感の漂う時代の中で、出会い、別れ、闘争、裏切り、死を経験しながらも懸命に生きる男女を描き

ってありますけど、この主人公が何に懸命なの?彼のどこにもやる気を感じなかったのですけど、それはここに書かれていないその時代の共通項が、当時読んだ人にはあったのかしら。

いろいろ、納得のいかない本でありました。

10月28日読了

ヒロセマリでした。


新装版 されどわれらが日々 (文春文庫)