苦学生よ、親も教師も信じるな。疑ってかかれ!「ブラック奨学金」今野晴貴 文春文庫
基本的に日本の未来は真っ暗だと思っています。
ニッポンのみらいはウォウウォウイェイイェイ世界がうらやむことはそんなになく、このまま相対的に見て、日本の順位はアジア勢に追い抜かれてどんどん下がっていくことでしょう。
その原因の一つを紐解いた本を読みました。
日本育英会ではなくなっている、奨学金制度
まず、私はバリバリの育英会からお金を借りていた世代なので、今は独立行政法人・日本学生支援機構という組織になっているというところの学習から。
それが、冒頭第一章、奨学金ローン地獄に落ちたケースの紹介に交えて行われるところが、パンチ力大でございます。
無利子の第一種に全然受からない
この本で何度も出てくる、無利子の第一種は全然採用されないという話。
私普通に第一種だったんですけど……
両親そろって、共働きだったのに。どれだけ家が貧乏だったのか、自分で恐ろしくなります。あとは高校の成績は底辺だったけど、出身高校と入学する大学がええとこ扱いだったからかしら、とかそのあたり謎。
苦学生から金を取り立てて、87億の利息を得る三井住友銀行
というからくりも書かれています。
日本学生支援機構に投資する民間企業はもう少し、公益とか、福祉的観点で投資するようなところに絞るとか、そういう取り組みはできないもんでしょうかね?
そうしたら第一種の比率をあげられるのではなかろうか。これでは金持ちが貧乏人苦しめて格差が広がる一方じゃないですか。
制度を熟知して、交渉していくことが重要
私は冒頭に書いた通り、育英会の第一種無利子でお金を借りておりました。
借りる際は自分で、説明資料を端から端まで熟読。一括で返済すると、残存年数に応じてキャッシュバックがある、ということを把握して、それを狙おうと、大学入学の際から考えていました。
そのために、敢えて1か月あたりの返済額を可能な限り低く設定。その方が返済年数が延びるんだもん。
で、お金を貯めて一括返済。返済方法についてHPにも書いてないもんですから、電話しましたよ日本学生支援機構(JASSO)に。
電話の人も「え?全額前倒し返済ですか?」ってなって待ちましたもんね。結果、手書きの振込用紙が送られてまいりました。
で、10万円くらいキャッシュバックありました。15年くらい前倒ししたんで。
200万無利子で借りて、10万近くプラスされたたらまぁ、ありがたいなぁ、ですよね。支援機構にとってはありがたくない元学生だったかもしれないけど、返済されないよりマシなはず。
ただ、この制度は2004年の組織編成、JASSOになったらなくなってしまったんですよね。
で、この制度に関しては親でもなく学校の先生でもなく、自分で全部読んで、自分で考えて決めました。
最大の問題は情報不足とあるが
今の若者は検索して、そこから答えを引き出すのは得意になってきているのではなかろうか。前回読んだ本(人と違う行動をして、考えるにんげんで居続けたい「ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ」)を見るとそう思うのです。
調べたら、どうにか対策がとれるのではないだろうか。
若者が、そこに至らないことに対して、どうすればいいのかなと、考えています。
奨学金頼る家庭の生徒よ、親も教師も信じるな。疑ってかかれ!
「親が返してくれると言っていた」とか延滞した理由が「奨学金は返還するものだとは思っていなかった」が4.5%もいるとか書いてありましたがね。
奨学金に頼らないとならないような家庭の君は、そんな親のいう事をそのまま信じて奨学金契約しちゃだめなんだよ。
まじめでいい子、なのかもしれないけど、だからこそ救済制度にも立ち向かえずに困窮してしまうのでは。
頭良くまじめに勉強していきたい子なら、それこそ条文は熟読すべきだし、制度に対して不誠実な職員には断固NOを主張して欲しい。
こんなルールが難しいです、苦手です、というタイプの人は、それこそこの厳しいルールに乗らないで、進学せず就職した方がよいのでは、という気も若干する。
日本を助けるには、したたかに、ルールを守る中で最大限自分が有利になるように交渉したりとか、先生とか、親とか、偉いと言われるような人を疑ってかかるような、そんな視点を若者に育んでもらうことではなかろうか。
日本の教育は転落してる。貧乏人はどうすればいいのか。
金ばっかりかかるようになっているからバイト漬けにならないとやっていけないし卒業したところで元が取れるかどうかもわからない。
でも、その大学を出ないと生涯年収が更に下がる可能性もある。
教育も転落しているし、それ以降の人生も期待ができない、と思うとそりゃ結婚も子供もノーセンキューになるし、ユーチューバーになりたいって子供たちも言い出すわ。
この次読んでいる本(無業社会)と言い、最近は日本だめだなぁ、お先真っ暗だなぁ、という本が多く、若者はどう処していくのかが正解かわからないです。
引き続き、現代の日本の貧困について、本を通じて考えていきたいと思います。
10月1日読了。
ヒロセマリでした。