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読んでいてふかふかと包まれているような気持に「白河夜船」 よしもとばなな 新潮文庫

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なんだか、体が疲れすぎて眠りづらくなった時に、読み返したくなった本。

眠くて眠くてしようがない人のおはなし、とざっくりとした記憶で10数年ぶりに読み返してみたところ、こんなハードな設定でしたっけ、と冒頭からおののいてしまいました。

これを読んだ学生時代、朝4時起きのバイトから、ときに夜10時まで働き、ときに朝10時台から夜9時までひたすら授業を入れてみたり、かと言えば1日、2日休みで、20時間眠り続けたり、1時間も寝ないといったようなとかく睡眠がおかしくなってしまった時期で、寺子のその眠れない症状のみを我がことのようにして読んでいたのだ、と今思います。

今、私の眠りについては平常を取り戻したのだと、この本を読んで思い知ったのです。

昼に寝ることなんてないから、とカーテンを遮光からおしゃれな光を通すものにして、まぁ時に夜更しすることもあれど、具合でも悪くしない限りは昼夜普通に過ごせることが普通になっていました。

そんな具合で、人それぞれにハードっぽい設定があったりなかったりするのが人生、そんな人生に、たまに大きな、天啓とも呼べるような出来事が起こるのを各話にあつめたようなばななさんの本。

やっぱり、登場人物たちのことばまわしが、読んでて心地よいなぁ。

肌触りが好きな作家さんなのです。読んでいてふかふかと包まれているような気持になりながら、ああ、もう少し肌寒くなったら「デットエンドの思い出」読み返そう。
と決めるヒロセでありました。

9月22日読了