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なるほど、御巣鷹山事故の基本書籍。「墜落の夏 日航123便事故全記録」吉岡忍 新潮文庫

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インターネットで見た情報の多くがこの本に端を発するものだったとは!

落合証言を上書きするロング・インタビュー。それだけでも読む価値のある本。

それ以外にも、今まで読んできたこの事件に関する書籍の情報が、バランスよく配されている。

この辺りの遺体まわりの話。

グッド・ラックは元フライトエンジニアによるものなので、物理学的な話が多く、そこまで頭にすっと入らなかったのだけど、墜落の夏は飛行機のことを知らなかったノンフィクション作家が調べて勉強したものなので、説明や解説が、見た物を伝える、という感じで不勉強な者にもわかりやすかった。

他にも保険の話、遺族のその後の話、それに空港の近くの中学校での自殺話、と内容が多岐に渡る。たしかに私も空港というものが気になった挙句、穴守稲荷に下車して散歩してみたこともあったが、この本ではなぜ、こんな遠回りをするのか。

それが最後、『機械と人間』というものの関係性考察へと結ばれていく。

冒頭、

そして、JA8119号機は、油圧装置が完全にきかなくなったときから、機械と人間との一体感を失い、むきだしの巨大機械としての姿を現わしたのだ。それは巨大技術が想定していない事態であり、致命的な欠如であった。機械はもはや、それを操作し、制御するために位置している人間の手足と感覚を離れ、暴走をはじめる。機械と人間との敵対的な関係こそが、以後のJA8119号機を支配する。

P97

という記述でぐっと心を掴まれたのだが、それも伏線として有効に機能する。

これは読まなきゃだめな本。そして、読んだら未来の航空機事故が怖くなった。

この本を読んだら、いよいよ、沈まぬ太陽にチャレンジかしら。

→読みました。

時間軸空間軸の移動に夢中。「沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 」山崎豊子 新潮文庫

その前に、今はこれを読みたい。

→読みました。「朽ちていく」とは?人間の体とは、DNAとは何なのか。克明に辿る83日の記録から目を逸らすな。「朽ちていった命 被爆治療83日間の記録」NHK東海村臨界事故取材班 新潮文庫

11月20日読了。

<参考記事>

戦略読書-わたしをかたちづくった事件に関わる32冊プラス9冊-