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一番の悪は、井口瑞江「黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人」森功 新潮社

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事件物として気になったので、読んでみました。

事件当時、学生だったから報道されていたのを聞いたはずだけど、そんなに覚えていなかった事件。

看護婦がその知識を利用してブランデーやら空気やらを注射して連続殺人してしまう話。4人の女性が人殺し、といえばOUTですが、こちらの話は尼崎連続殺人事件や北九州連続監殺人事件より。

サイコパスによる、異常な人心掌握事件

そう、この物語は主犯吉田純子の恐ろしさに震える物語。

相手の弱さに気づき、そこに付け込んで思いっきりの嘘八百をぶつける。

その演技の神がかりっぷり、それは弁護士すらをいなすほど。

サイコパスに付け入られる原因考察

そこにつけ入れられるのは「これが表ざたになると、困る」という心理なのかなと。

ここで「どうぞ、罰なら受けますのでご自由にお話しください」という相手だと成立しないですからね。お金払わないですから。

自分を良く見せよう、マイナスにならないような挙措をと気を付けていた頃に何かあったと仮定すると、こんな虚偽の話があろうがなんであろうがとにかくそこを突かれるのが辛くて、従ってしまう気もわかると思います。

正規のルール下で良く思われようとするばっかりに、とんでもないルール違反を犯すことになるんですね。

「何かあれば罰せられればいいのでしょ」という気持ちでいれば、こういう罠をはねのけ、正規ルートに明るみにするので、こういう打診にも動揺しないと思います。

そういった心持でいることが対サイコパス対策になるのでは、という自分の中で解を出せたのは読書経験からくる収穫かな。

犯罪者の母親、やっぱりやばいのが多い

これ持論ですが。

複数人子供がいて、ほかの兄弟はまともで、一人だけ犯罪を起こすとかそういうパターンもありますが。

やっぱりどえらい犯罪を起こす犯人の親は大変なのが多いって。

「少年A」この子を生んでとか震えるよ、この母親の感覚に。

木嶋佳苗の母親も気味が悪かった。(参考:なぜこの女に、多くの男がいとも簡単に騙され、命を落とすに至ってしまったのか。「別海から来た女 木嶋佳苗悪魔祓いの百日裁判」佐野真一 講談社

でこの吉田純子の母親ですよ。

弟への気味が悪いくらいほどの溺愛。それは社会人になった弟に対して

毎朝、息子のズボンにアイロンをかけ、黒い皮靴がピカピカになるまで丁寧に磨いた。

真冬の寒い朝は、信二が家を出る十五分前に必ず車のエンジンをかけておく。

P78

という気味悪いもの。

柳川の中学の数学教師を弟の信二が事件後も続けていたっていうのが怖いわ。

人から何かされるのが当たり前という感謝の気持ちが鈍麻した教師なんて、いやでしょう。

純子はこの家族から離れてしまえばよかったんだけどね。だって一介の看護師からこんなに金巻き上げるなんて、異常じゃない。

で、結局娘が捕まって死刑になる中も、高級マンションで一品数十万以上する調度品に囲まれて過ごしてる。

この悪にもっと早い段階で何かできていれば、その後人が複数人殺されたりもしなかったのにと感じてしまいます。

井口瑞江がこれ以上他の人間たちに悪影響を与えていませんように、と暗に書き記すことでとどめておきましょう。

7月27日読了

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

ヒロセマリでした。

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犯人は、逆にこの本の著者を 逆恨みしているのでは 「心にナイフをしのばせて」奥野修司 文芸春秋

事件の「貌」が見える本 私は真犯人を知っている 未解決事件30 文春文庫

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