起こるべくして、起こったと言える組織「沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 」山崎豊子 新潮文庫
この作品は凄いわ、やはり。
前2巻で、アジア・アフリカをまたにかけた壮大なスケールで進んでいたと思ったのに、のっけからアフリカ・アジア感0。全くもっての「御巣鷹」本になっているのです。
「加害者」であるJALの幹部層の反省の無さ、自分の立場・利益・名誉のことばかりを追求する描写は1巻から続いていますが、このような大事故を起こしてもなお、変わることはありません。
起こるべくして、起こったと言える組織なのだな、と感じてしまいます。
そして堂本の立ち位置がこうなっているとは。背景を知ってしまうと、他の御巣鷹本を読むときの印象が変わりますね。
さすが、元新聞記者だけあって、航空の専門用語オンパレードの文章を、想像しやすいように説明する文体はお見事だなぁ。今までよりも理解が深まりました。
この巻の一部遺族の方、ご家族の方の名前は実名で出てきます。これはおすたか会の人たちに取材を重ねて、許可を得て書かれているのかな。美谷島さんなどの遺族側の本にはないエピソードも読むことができました。
これであと2巻。この物語はどこに向かっていくのか。全く想像がつきません。読みたいと思います。
またまた1日で510ページが。4月5日読了。
これも読みたい
文中で出てきた、連合赤軍事件も担当した大国 勉医師の本
身元確認 歯や骨からのアプローチ
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ひとつ、気になったのは、事故後の健くんのお兄さん、お姉さん。「御巣鷹山と生きる 日航機墜落事故遺族の25年」美谷島邦子 新潮社
ヒロセマリでした。