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「正義」は個人に宿るもの 是非読んで頂きたい 桶川ストーカー殺人事件 清水潔 新潮文庫

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これは本当に皆さんに読んで頂きたい。

「相棒」「踊る大捜査線」「ストロベリーナイト」「アンフェア」
といったような警察ドラマを見ていて、警察という組織は
関係者、関係者の家族を守ることを最大のミッションとし、
その余力で市民を守るものだ。
と私の中で定義をしていました。

だって、どのドラマを見ても警察内部、特にトップクラスの方々は
もはや悪人のように描かれているのだから。
ここまで多くの作品でそう描かれるということは、
実際の警察もそういうものなんだろう、という
定義をしていたのですが。

本当に警察が事実をゆがめ、1人の女性を死に追いやった。

余りにも嘘だろう、という事実が続いていくために、
まさに小説のような展開を見せていきます。

ページをめくる手を止められない本でした。

警察の中でも、詩織さんの録音したテープを聞き
「これは恐喝だよ恐喝」と言ってくれた若い警官は、
正義感を持って仕事をしていたのだと思います。
事件がこのような展開になり、後悔したのではないかと思います。

マスコミの中でも、多くが警察の言いなりの報道をしているのを見ると、
「正義」というのは組織、団体に属するものではなく、
あくまでも個人に宿るものなのだと痛感されました。
この本で出てくる信頼できるものはすべて「人」です。
組織、団体、会社ではありません。

自分が事件に巻き込まれたことを考えると、
こちらに出てきた人をメモしておこう、という気持ちになりました。

文庫版に収録された「補章」のメッセージで号泣させられ、
たとえこの後清水さんや、清水さんのご家族が大変なことに
なりそうでも、清水さんには「正義」をもって報道を続けて頂きたい、
と思った矢先、文庫版あとがきの最後1ページで本当に
衝撃を受け、涙が止まらなくなりました。

そんな清水さんは、この事件の後も様々な事件を
追っています。
去年の年末に、この本が出版されています。

清水さんの活動を後押しするためにできることは
一人でも多くの方に、知っていただく、読んでいただくことかな
と思います。是非、読んで頂きたいと思います。