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川口葉子さんの視点を本を介しておすそ分け 京都 カフェと洋館アパートメントの銀色物語

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「疎水のほとりに建つ、しだれ桜の花の色に染まった古いアパートメント。」
という冒頭の一行を読んだ瞬間、本を閉じました。

この本は「流して」読みたくない。じっくりと、その単語の意味ひとつひとつを
噛みしめながら読み進めていきたい、と辞書をひもとき、
「疎水」とは灌漑のためなどに切り開いた水路だと知ります。

読み進めていくとその疎水の手掛かりになりそうな場所の記述が
出てきましたので、次は地図でその場所を確認し、その土地の
風景を文字から立体化させ、思いを馳せます。

次々と紹介されるカフェはどこも美しく、どうしてこんなに数多くの
魅力的なカフェを見つけられるのだろう、と思ってから、
著述家に加えて喫茶写真家である川口さんが、魅力的に感じるところに
フォーカスを当てているから、その魅力が伝わってくるのだと気づきます。

川口さんの視点を、本を介しておすそ分けいただいている、そんな気持ちになります。

カフェをこよなく愛する川口さんの周りでは、まるでよしもとばななの小説に
出てきそうな驚くべき出来事が次々と起こります。

まさにタイトルが「カフェと洋館アパートメントの銀色物語」とあるように、
ただカフェを紹介する本にとどまらず、一冊通した物語としても読みごたえがあります。

久しぶりに、京都に出かける前に読めて良かったと、心から思います。
喫茶チロルにしようかな、それともチェカか、、と悩む時間もまた幸せです。

実際にお邪魔した時の記事はこちらです。
おしゃべりせずとも大丈夫な間柄の人を誘ってゆったりと 京都 蹴上 喫茶チェカ

川口さんにリツイートして頂けた、こちらもおすすめの
川口葉子さんのカフェ本が他と違う理由。 東京カフェを旅するのご紹介です。