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女性の無意識下のあの願望を刺激するのか 「きことわ」朝吹真理子 新潮社

ツイッターでやたらとつぶやかれている作品。
発売から結構時間が経っているのに言及されているので気になっておりました。

この朝吹さんというのは何かのきっかけで小説を書くことを薦められて
作家になったという変わり種の方、というぼんやりした知識での読書です。

なるほどこれは、独特の世界に浸らせてくれる作家さんだなと納得です。

間怠く、とかなんとなく意味は浮かぶけれども、正確な意味はわからず、使ったことがないという絶妙に新鮮な単語のチョイスたち。
辞書で調べても広辞苑では出てこないような漢語だったり、あっても出典が新古今和歌集とか、源氏物語とかそういった古い言葉たち。

興味対象として読んでいた書物が相当なところだったんだとお見受けします。
本のプロフィールに近世歌舞伎で大学の博士課程在籍って書いてありますね。
そうやって得た言葉たちの中から現代21世紀に使うそのチョイス力がすなわち才能か。

また

音に合わせて道路灯が符のようにつづいた。たしかに時間のうえを走行していた。夢の時間軸ではいったいどの線上を走り過ぎているのか。

という文章で、現在過去未来という時間経過を線のように見せ、その線が伸びて世界が広がって行く。
そのように時間の経過を感じさせながら、今と25年前とを巧みに行き来する。

あとは、きこ・とわの二人があいまざっていく感覚、その記述か。
まるでちびくろ・さんぼの絵本のとらのようにとけあっていく様が随所に見られます。

ツイッターで見るファンに圧倒的に女性が多いのが、女性にはこのようなとけあいたい願望が無意識下にあって、それを見事に明示し、刺激するからなのではないかな、と感じました。

逆に男性の全くわからない、伝わらないなんて感想もお見かけしたのはそのあたりに通じるのかな。

この世界にひたりに他の作品も読みたいなと思いました。

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