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取次や出版社が、出版業界の弱体化を招いたのでは、と思わせる ぼくは本屋のおやじさん 早川義夫 ちくま文庫

先に、ブクログの方に掲載したら、そのお知らせツイートを
早川義夫さんがお気に入り登録してくださってました。
こうやって本を書いた人に直接届くって、素敵です。
早川さんありがとうございます。

稲泉連さんの本(今、辛い学校生活を送る人へ 僕の高校中退マニュアル 稲泉連)
に載っていたのか、この本を読んだ時の調べ物でひっかかったのか、
この本を読んでみたいと思っていました。

早川義夫さんといえば、うっすらとサルビアの花の人だ、という印象があったのですが
なんと音楽活動と音楽活動の間に20年以上の本屋の店主、というものすごい経歴の持ち主だったのです。

そんなことを聞くと、お客さんとの心温まるような話が詰まっているかと思われるかもしれませんが、
いちばんの内容は、出版業界の「おかしさ」です。

ややもすると愚痴とも取れてしまうくらい、取次が全然注文通りに本をくれない、
取次の傲慢な態度、出版社は広告を出しても本が小さな本屋に届くようには出版しない、、
というような内容が一番多いかなという感じ。

こういうことをしていた結果、結局amazon+大書店しか成り立たなくなりつつある
現状に繋がったのだろうな、と思います。

そういった本屋さんの愚痴はさておき、
そんな文章の合間にある、人生哲学みたいなところにグッときました。

「腹が立つということは、決して、その人に対して腹が立つということではなく、
自分がうまく、その場をまーるくすることができないことに、腹が立ちイライラするのである。」

「僕はむしろ、知れば知るほど、知っているという態度をせぬような、
もしくは、知っていることが、恥であるような人間になりたいと思うのである。」

「結局、人は、物を欲しいのではなく、あったかさとか、やさしさとか、安らぎとか、
そういった充足感や満足感を求めているのである。」

「僕たちは、気取った人や威張った人に、もっとも弱さを感じた。
自分の弱さを認めるのが強さなのではないだろうか。」

そんな風に感じてしまうのは、就職して生きる私が、
取次のような仕事をしているかもしれない、という自戒の念からなのでしょうか。