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ファッション大好きな人間が軽く見える理由「緑の毒」桐野夏生 角川文庫

夜の谷を行くが読みたくてですね。連合赤軍もの。それを桐野夏生が手掛けるとは、東電OL事件をモチーフとしたグロテスクが好きなのでわくわくしてしまう。

そんななか気になったこちらを読みました。

ファッション大好きな人間が軽く見える私の理由

主人公の男が40前なんだけど、ファッション大好きで、というか人のことを着ている服でずっと値踏みをしていく男なのですね。

顔よりも着ている服、つけている指輪で相手のことを考えている男。

奥さんの服はダサいからと、着る服を選んじゃうような男。

極端までな登場人物が出てくるこの本を読んで思ったところがある。なんでファッション好きな人間は、その人間性が薄っぺらいものに思えてしまうのか。

ファッションのその定義、正義は世界のどっかで作ったものが流通していって、それを定められた時間だけもてはやすじゃないですか。

はやりです、と提示されたものをはやっていると着て、それが一定の時間が過ぎるとダサいと切り捨てる。

同じアイテムを、時間の経過だけで褒貶する。その時間経過も別に自分が決めたわけじゃない。

この人の、主体性は何なのか。この人は何が好きなのか。それがファッション好き度が高まると高まるほど見えなくのか、と考えます。

見えない、川辺がなぜここまで歪んだのか

サラリーマン家庭から医者になり、開業して院長として過ごしているのに、なぜここまで嫉妬深く、傲慢なのか。と

この満たされない焦燥感はどこから生まれてきたのか。医大のまわりの恵まれた家庭の子息たちとの交流で、鬱屈した精神が溜まっていったのか。

川辺は小説界で生きているからわかんないですが、我々は小説を読んでいくと、相手の視点に切り替ったら、川辺がうらやましく思っていてもそれぞれ内情があるわけで、実家の病院を継いだ元パートナーだって、金策に困っています。

その辺りが、表面しか、相手の取り繕った部分しか見えない川辺には察せられないだろうなと。

作られたいいところが本質だと思って過ごしていたら、そりゃ辛いでしょうに。と書いていて理解。

読書をすると、こういった人間の表と裏を俯瞰して見られるので、心穏やかになれますよね。実生活でも、表層から隠れた本質を洞察できますように、と思いました。

7月17日読了


緑の毒 (角川文庫)

ヒロセマリでした。

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