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美しい文章が、トマトや沢庵、コーヒーを媒介に世界に溶け込んでいく 「洋食屋から歩いて5分」 片岡義男 東京書籍

先日、麹町・赤坂見附エリアをお散歩していた際に
COOK COOP BOOKさんに立ち寄って、
食に関する本を眺めました。

それで、気になったのがこの本です。

申し訳ないのですが、お名前は伺うのですが読むのが初めての
作家さんです。

ごく短い、短編が続々と続く中、「トマトを追いかける旅」
でトマトを追って世界中を旅する姿、絵が浮かびます。
片岡さん本人も行ってない、空想の世界なのに、
その空想世界に引っ張られる文章です。

沢庵ひときれが冬になり、コーヒー一杯が短編小説になる。
食べ物や飲み物を媒介に、世界に溶け込んでいく、
その溶かし方が絶妙なんですね。

文章に、
「あ、この人こうやって読者を酔わせようとしている」
という作為的な押しが見えないので、
引き込まれてしまうのでしょうか。

文章を書いて、発表してを数多繰り返し、短編小説の書き方、
というのが体に染み付くとこのレベルに達するのだなと感じました。

押しの強い自分の文章からどう引きのエッセンスを取り入れて、
適切な単語を選べるのか、考えさせれる本でした。

私がCOOK COOP BOOKの店員さんだったら、
「料理本の理想」で挙げていたこの3冊を、隣に並べることでしょう。

その逆サイドには、「弁当の秋」で紹介されたこの本。

あ、これまた翼の王国BOOKじゃないですか。京都の流儀
もそうだけど、このコーナーもANA乗ると
楽しくて読んじゃうなあ。

春夏秋冬、その間の季節にも、それぞれあう短編があるので、それを探して
ゆっくり読んでいくのも楽しいかもしれません。